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原宿で開催されている「オーセンティック展」は服のルーツを触ることができる

2017年9月15日

原宿の旧UAウィメンズ館3階で開催されている「The Authentics – eternal source of creativity – 」

無料で見ることができる展示会としては最高のものだったと思うので、その情報を共有したいと思います。

どうも!

古着屋店員兼ブロガーの「k(@k___blog)」です!

https://www.wwdjapan.com/465898

 

旧ユナイテッドアローズ原宿本店で開催されている「The Authentics – eternal source of creativity –」展。

洋服のルーツと言える原型のヴィンテージコレクションを見て触れて学ぶことができる展示会となっています。

入場料は無料で9月18日までの間なら何度でも会場に入ることが可能です。

コンクリートの真っ白な空間にイヴ・サンローランなどのヴィンテージ品が展示されており、ヴィンテージアイテムを現代のファッションに落とし込んだレディースの着こなしが写真でも展示されています。

ファッションの本物に触れたい方は是非とも訪れていただきたいですね。

 

※店内では写真を撮ることが可能で、店員さんにお伺いして、ネットにアップしても良いとの事でしたので、写真を載せさせていただいています。

 

ファッションのルーツを学ぶことができる展示会

僕たちの着ている服には原型となるモデルが存在します。

それはスポーツチームのユニフォームだったり、アメリカ軍の戦闘着だったりと様々。

そんなファッションのルーツとも言える服を、この展示会では見るだけでなく触ることもできるというから驚きです。

 

また、各洋服にはこのように原産国や年代などが記されており、細かな解説もなされています。

ただ見るだけでは、理解しずらいファッションを専門的な視点から解説付きで覗き見ることができるんですね。

 

勉強になりすぎたので全ての解説を写真に収めましたもん。

 

本物を知って、ファッションの5大要素を学ぶ

ファッションを学ぶには、本物=Authenticsを知ることが重要です。

海外のファッション教育機関では、まず最初に服飾の古典から学びます。

デザイナーを目指す人は、偉大なるデザイナーの代表先を紐解き、デザインの目的と本質、そしてどのような構成であるかを見極める力を学びます。

そのなかで、本質やルーツを知り、独自の表現を加えることで新たなデザインを創りあげます。

このたび、日本服飾文化振興財団では、「THE AUTHENTIC」展として、所有する資料の中から、洋服のデザインのルーツとなる「本物=Authentics」のヴィンテージアイテムを激選し、展示会を開催いたします。

この展示会では、洋装のデザインの源流である王族、貴族のライフスタイルの中の重要な要素を、「軍服-Millitary-」「制服-Uniform-」「労働着-Work-」「運動着-Sports-」「民族衣装-Ethnic-」の5カテゴリーに分類し、展示いたしました。

また、展示方法として、見て、触れて、感じていただけるようトルソーを使用し、デザインの表現として、現代のリアルクローズとのミックススタイリングを、スチール写真にてご紹介いたしました。

今も色褪せない本物のデザインと、スタイリングによるファッションの楽しさを、展示会を通して体験していただければ幸いです。

展示会に入ってすぐにこのような事が書かれたボードがありました。

服のルーツについても多少は知っているつもりの自分でしたが、これを見て初めて洋服のデザインに5大要素があると知りました。

これを知ることで、現代のファッションを見るときにも、

「このディテールはミリタリーだ。」

「このデザインはスポーツとワークを合わせているな。」

など、深い視点で服を見ることができるようになると思います。

この日展示会を見た後にショップ巡りをしたのですが、いつもより細かいところに注目して服を見れた気がしました。

まだまだ勉強不足ですが、ファッションやデザインのルーツを知ることで、その服のデザインの意味を理解することができるようになるんだと思います。

 

MILITSRY

ストリートにおけるミリタリーアイテムの引用は、1960年代後半頃から見られる。ベトナム戦争の激化、泥沼化はヒッピームーブメントへと発展する。若者たちは反戦を訴えるために、あえて戦争を連想させるフィールドジャケットやカーゴパンツを身に着けた。また1971年6月に「エル」が8月にはアメリカ版「ヴォーグ」などのファッション誌が、カモフラージュのジャケットやパンツを相次いで紙面に掲載することによって、ミリタリーは重要なファッションイメージとなっていく。

戦争を経験していない若者が多くなってきた今、ミリタリーのルーツも知らない方が増えてきているのでしょう。

もちろん僕も知らない世代ですし、戦争後の日本の空気感なんてのも分からないものです。

でも、「反戦を訴えるためにあえて、戦争をイメージさせるフィールドジャケットやカーゴパンツを身に付けた」という言葉にはものすごい重さを感じずにはいられません。

それが現代のファッションのイメージ、カッコイイ服装の表層になっているという事ですから、本当にすごいことなんですね。

 

UNIFORM

ユニフォームの歴史は、17世紀ヨーロッパの軍服からはじまる。それまでそれぞれの服装で戦っていた兵士たちだったが、スウェーデンなどのプロテスタントの国々から軍服のユニフォーム化が進んでいった。イギリスのスカーレット、プロイセンのプルシアンブルー、オーストリア・ハプスブルク家の白、ロシアのツァーリグリーンなど国を象徴とする色彩がユニフォームに取り入れられた。19世紀にはいるとイギリス・ヴィクトリア時代にパブリックスクールやカレッジなどでジェントルマン教育の一環として、フットボールやクリケットなどのスポーツが行われるようになる。彼らはお揃いのスクールカラーによってデザインされたキャップ、ネクタイやジャケットをユニフォームとして着用した。

学校の制服をファッションとは違う物として着ていましたが、ルーツをたどると大きな意味のあるものなんですね。

特にブレザーなどは僕の好きなアイテムのひとつ。

ルーツなどについてはほとんど考えずに選んでいましたが、新たに見えるべき視野が増えたと言えるかもしれません。

 

WORK

モールスキンのワークジャケットやテーラードジャケットがそのままワークウェアになっていったヨーロッパとは異なり、アメリカには数多くのワークアイテムが登場する。ジーンズ、ビブ・オーバーオールズ、ペインターパンツやカバーオールなどである。それらはデニム、ヒッコリーやシャンブレーなどの素材で作られたが、ハイファッションでは、ワークウェアの素材として敬遠されてきた。1969年、イヴ・サンローランがデニム地のコートを発表するが、賛否両論大きな反響を呼ぶも、追随するデザイナーは現れなかった。1970年代後半になると、デニムはファッションとしての素材として認知され、デザイナージーンズという新しいジャンルも登場した。

 

日本に大きく影響を与えているであろうアメリアのワークアイテム。

カジュアルファッションと言えば、デニムやカバーオールは定番ですもんね。

また、デニム地のコートなんて今では普通に着用するものですが、時代によっては大きな波紋を呼んだこともあったのですね。

そう聞くだけで、デニムが実はすごい過程でファッションに浸透してきたんだというい事が分かります。

 

SPORTS

19世紀まで、スポーツは戦争のための訓練、および上流階級の社交の手段としての乗馬や狩猟などが主なものだった。1880年代の自転車の大流行から、一般階級でもスポーツが娯楽や健康促進のために行われるようになる。サイクリング、テニス、ゴルフ、クリケット、海水浴などで、男性はテーラードジャケットにトラウザーズ、女性は流行のシルエットのドレスを着てスポーツをしていた。やがてブルーマーやニッカーポッカーズ、ポロシャツやスニーカーなどの動きやすいスポーツアイテムが登場する。1920年代にはジャージー地を使用したスポーツウエアがジャン・パトゥーやエルザ・スキャパレリなどオートクチュールデザイナーによって発表された。1950年代以降になると、若者のファッションに次々にスポーツアイテムが取り入れられていく。

スポーツが戦争のための訓練。

それを初めて知り、かなりの衝撃を受けました。

学生の時あれだけ楽しんでやっていたスポーツが、実は戦争という言葉に行き着くルーツがあったとは…。

 

また、テーラードジャケットにトラウザーズでどうやってスポーツをするのかと思ってしまいますが、今みたいな高機能素材がない時代ですから、それらがその時の普通だったのですね。

スポーツの発展とともにスポーツアイテムも成長してきたという事ですから、スポーツをしてきた自分としては、そのありがたみを感じずにはいられません。

 

ETHNIC

ヨーロッパのファッションは、歴史上たびたび、そのインスピレーションをオリエントなどヨーロッパ以外の文化から引用してきた。18世紀後半、中国からシノワズリー、19世紀後半、日本からのジャポニズムがその代表的な事例である。ポール・ポワレ、マドレーヌ・ヴィオネなど20世紀初頭を代表とするオートクチュールデザイナーたちも、多くのアイテムをそれらから発想している。ストリートにおいては、60年代後半のヒッピームーブメントの若者たちが注目したのがZENなどの欧米以外の文化だった。そのため1970年代、若者たちを中心にエスパニック・フォークロア・ファッションが注目された。またパリファッションの中心がプレタポルテへ移行していく中、プレタポルテデザイナーたちのアイデアの多くもそれらから発想された。

ヨーロッパのファッションに日本の文化が取り入れられているのは、結構最近だと初めて知ることになりました。

今ではヨーロッパが引用した日本のファッションを、逆に日本人が着るという事もあるのでしょうね。

色々な国の文化やファッションが入り混じって現代のファッションや着こなしが出来上がっているんだと改めて感じました。

 

自分が今着ている服とのつながりを感じることができる

(1950年代アメリカ空軍のフライトジャケット「MA-1」)

 

やはりこの展示会で一番感じることができるのは、現代ファッションとの繋がりです。

 

このMA-1なんて、やはり完成形のアイテムですのでそのまま今のファッションに落とし込むことができるんですよね。

逆に中綿を抜いたり、デザインを変えたりすることで源流から遠ざかり、ファッションアイテムとして完成度は下がっていくのでしょう。

これ以外でも今のファッションとのつながりを色々な服から感じ取ることができます。

ルーツを知り本物を知ることで、何が良くて何がダメなのか。

それを少しでも分かることができるのではないでしょうか。

 

終わりに

以上、オーセンティック展に行ってみての感想でした。

本当に感動するくらい面白い空間だったので、少しでも気になった方にはぜひとも行っていただきたいです。

写真を撮ってSNSで発信していいという事は、より多くの方に見てもらいたいからだと勝手に解釈してブログに載せていますが、写真だけでは全く伝わっていないと思います。

こんなヴィンテージの服に直接触れる機会ってほとんどないと思うので、見るだけでなく触ることでより感性が刺激されるはずですよ!

 

また、会場奥では2年前に会員限定で行われたファッションショーの映像も見ることができるので、それも独特な空気感で楽しむ事ができますよ!

以上になりますが、ファッションを学びたい方に本気でオススメしたいと思います。

それではまた。

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ブログ歴7年。 古着屋勤務歴5年。 デザイナーズからビンテージまで幅広く色々な服が好きなので、このブログでも幅広いテーマで発信中です!

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